NURO光のメリット・デメリット ここがおかしい10の論点 本当に要注意なのは?

光回線の極意

ネットでNURO光のデメリットについて書かれている記事をよく目にします。裏を返せば、それだけNURO光が注目を集めているということでしょう。しかし、それらの記事は、実は他のプロバイダーを宣伝する目的だったり、一見NURO光をディスるように見えて、実はNURO光の加入を促す記事だったりします。

本家のNURO光の記事も含めて論点がおかしいと思うことがあまりに多いので、利用体験をもとにそれらの項目を検証したいと思います。
また、こうした記事で語られていない、利用者だけがわかる本当に要注意な項目について最後に触れます。

よく語られるNURO光のメリット・デメリット
ここがおかしい! NURO光のメリット・デメリット 10の論点
まとめると・・・
実は本当に要注意なのはコレ

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よく語られるNURO光のメリット・デメリット

本当にメリット・デメリットなのか怪しいものも含めて、記事に掲載されているものは以下の10項目くらいかと思います。
本家「NURO光」の記事にも同様なことが書かれています。
NURO 光の6つのメリットと4つのデメリットについて

よく語られるNURO光のメリット

1
速度が速い
2
料金が安い
3
ルーター不要
4
セキュリティが無料
5
工事費が実質無料
6
4.3万円キャッシュバックなど様々な特典がある

よく語られるNURO光のデメリット

7
提供エリアが限定されている
8
プロバイダーが限定される
9
理論値と実測値が異なる
10
回線工事が2回必要

こうした議論が気持ち悪いのは、以下のようなポイントです。

・加入までの問題と加入後の問題をごっちゃまぜにする
・他のプロバイダーとの比較がきちんとされていない
・該当する人と該当しない人がいる

実際に、これらは本当にメリット・デメリットなのでしょうか?

以下に1つづつみていきましょう。

ここがおかしい! NURO光のメリット・デメリット

論点1:速度が速い

真偽のほどは・・・

A. 事実です。

フレッツ光からNURO光に乗り換えるときに、両回線が使える期間があったので、ルーター、パソコン、利用時間帯などを同条件にして回線速度を比較してみました。NURO光のほうが明らかに速いです。

OCN 光 with フレッツ(ファミリータイプ) NURO光(G2V)
テスト環境:ONU(回線終端装置)以外は ほぼ同条件にして比較。

NURO光、フレッツ光のそれぞれのONUに、LANケーブルでWi-Fiルーター(WHR-1166DHP3) を接続。
Macbook Air (early 2015)から、Wi-Fi接続(802.11ac/5GHz帯)でルーターを経由し、インターネットに接続。Googleスピートテストでほぼ同時間帯に通信速度を測定。(2020年2月)

ルーターを高性能なものに買い替え、クライアント端末側も性能が上がれば、さらに速度アップが期待できます。我が家でも現在では、Wi-FiルーターをWSR-2533DHP3 に買い替え、クライアント側も 新しいiPhoneやMacbookになっていますので、速いときで500Mbpsを超えるなど更に速度が上がっています。

論点2:料金が安い

真偽のほどは・・・

A. 何と比較して安いのか、条件を明確にする必要があります。

料金が安いか、高いかの話は、本来同じ条件で比較しないと意味がありません。

回線速度、回線品質、キャッシュバック、値引きキャンペーン適用中の価格、契約期間、プロバイダー料金(強制加入の場合)などです。2年間契約期間の縛りがある場合には、キャンペーン終了後の通常料金での比較もする必要があります。

論点3:ルーター不要

真偽のほどは・・・

A. 事実ではありません。(必要になるケースがあります)

下記の記事にも対処法をまとめましたが、ある時期に契約した方に送られたWi-Fiルーター付きONU、特にZTE社製のf660a, f660pなどのいくつかの機種は、Wi-Fi接続が頻繁に途切れることが確認されています。Wi-Fi接続が不安定だと思ったら、NURO光の回線品質を疑う前に、まずこのZTE社製ONUを疑ったほうがいいかもしれません。問題の切り分けは、以前ルーターを自前で用意しなければならないプロバイダーを契約していた人ならば、昔使っていたルーターをONUに有線接続し、そちら経由で通信してみればすぐわかります。(やり方は下記記事にも書いてあります)

本件は、自分でWi-Fiルーターを用意すれば解決できる問題ですが、ゆえに「ルーター不要」というのは、当てはまらない人がいます。

NURO光の唯一のデメリット? ZTE製ONUで無線LANが途切れる場合の対処法

論点4:セキュリティが無料

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、あまりメリットにならないかもしれません。

パソコンやスマホにセキュリティソフトをいれておけばほぼ安全というのは、10年以上前の話です。

例えば、以下のような記事にあるように、現在はサイバー攻撃の手法が複雑化・巧妙化しており、最新の優秀なセキュリティ対策ソフトを使っても、次々と開発される未知のマルウェアの侵入を完全に防ぎきることはできません。

参考記事:サイバー攻撃の種類や事例、有効な対策について解説 (ソフトバンク)

特に現在猛威を奮っているフィッシィング詐欺については、セキュリティソフトで警告は出せるものの、ユーザーの行動を完全に阻止することはできません。

フィッシング詐欺に注意(総務省)

NURO光で付属しているのはカスペルスキーのセキュリティソフト。マカフィー、ノートン、ウィルスバスターと同様のソフトです。「ないよりはあったほうがまし」なのは確かですが、インストールしたからといって過信は禁物です。また、セキュリティソフトをいれることにより、動かないアプリがでることもあります。

また、ウクライナ情勢に関連した別の懸念として「カスペルスキー」のソフトは以下の点も指摘されています。販売や導入を取りやめた企業もあり、単なる噂かもしれませんが、ちょっと導入をためらってしまいます。

露のウイルス対策ソフト「カスペルスキー」、露政府が悪用リスク…欧米で警戒強まる(2022/4/6 読売新聞)

こうした評判を気にする方で、セキュリティソフトを導入したい方は、別の会社のものを有料で契約しなければならなくなり、そうなると「セキュリティソフトが無料」ではなくなります。

注)2022/4/4から、NURO光で提供されるセキュリティソフトが、カスペルスキーからマカフィーになりました。(リンク

論点5:工事費が実質無料

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、お得かどうかはトータルコスト次第です。

これも「論点2:料金が安い」と同様な話です。

お得かどうかは、月額料金、工事費、キャッシュバック諸々ふくめて総合的に判断する必要があり、工事費だけでは判断できません。

論点6:4.3万円キャッシュバックなど様々な特典がある

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、お得かどうかはトータルコスト次第です。

これも「論点2:料金が安い」と同様な話です。

お得かどうかは、月額料金、工事費、キャッシュバック諸々ふくめて総合的に判断する必要があり、キャッシュバックだけでは判断できません。

論点7:提供エリアが限定されている

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、デメリットというのは変です。

「デメリット」というのは料金を払って利用している人が受ける不利益であるべきと考えます。

提供エリア外で契約できない人は、お金も払っていないのでそもそも不利益は発生しません。
使えなくて残念なだけです。

提供エリア内の人は、サービスが利用できるので、当然デメリットにはなりません。

論点8:プロバイダーが限定される

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、デメリットにはなりません。

いまどき、プロバイダーにお金を払ってメリットのあるサービスが受けられるのでしょうか?

メールは、Gmail、携帯メール、LINEのメッセージを使っていますし、プロバイダーにお金を払う意味が昔に比べて薄れています。

ある種の人にとっては、フレッツ光+OCNのようにお金を払ってプロバイダー契約を結ばないと光回線が使えないような契約のほうが むしろデメリットです。

プロバイダーがどこでも使わないのでどうでもいい。むしろプロバイダー料金を取られないNURO光はありがたいくらいです。

論点9:理論値と実測値が異なる

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、どのプロバイダーも同じです。

実際に体感できる通信速度についてです。宣伝に使っている速度と、実際に個々の利用者が体験できる速度が異なるのは、NURO光に限らず、どのプロバイダーを使っても同じことなので、デメリットになりません。

こちらの記事にも書きましたが、最終的な端末で体験できる通信速度は、途中の経路の最も遅いところに依存します。

無線LAN環境構築のキホンのキ

この場合、正確に表現するとすれば、「NURO光は、最高速度2Gbpsをうたっていますが、実際に出る速度は 1Gbps程度までです」となります。

それでも、他の一般プロバイダーに比べたら圧倒的に速いですし、デメリットはありません。

はじめの「論点1:速度が速い」のところで説明したテスト環境は、ルーターもMacbookも古いので  通信はWi-Fi 5(802.11ac)で行われ、たかだかフレッツ光の2倍程度の速度にとどまりました。しかし、Wi-Fi 6を実装した新しい機器ならば、実測値500Mbps〜800Mbps程度は普通に出ると思います。

論点10:回線工事が2回必要

真偽のほどは・・・

A. 事実ですが、利用開始前だけの話です。光でんわを入れると3回になります。

これもデメリットというのは違和感を感じます。事実ですが、利用開始前のいっときの話です。面倒ですが、利用開始後のデメリットではありません。サービス利用開始してしまえば、まったく問題は起こりません。

唯一要注意なのは、光でんわを利用していた場合には、その電話局での工事が後日加わることとなり、合計3回の工事が必要なることです。

そのあたりの工事の流れについてはこちらの記事に体験談をまとめてあります。

NURO光へ乗り換えの注意点 申込〜工事〜開通、光でんわ切り替えまでの手順を解説

まとめると・・・

これまでの議論をまとめると以下のようになります。

明らかな事実は、「1.速度が速い」ということ。

人によって状況が異なる可能性があるのは、

「3.ルーター不要」(契約時に送付されたONUの性能次第で、Wi-Fiルーターを自前で用意しなければならない)

「4.セキュリティが無料」(カスペルスキーのセキュリティソフトに懸念がある場合は、有料で別会社のものを購入する必要あり)

「10.回線工事が2回必要」(光電話をいれると、工事回数が3回に増える可能性があり)

の3つになります。

それ以外は、特別な事情がある方以外には、メリットにもデメリットにもならない項目ばかりでした。

 No.
項目
真偽のほどは・・・
判定
1
速度が速い
事実です。
2
料金が安い
何と比較して安いのか明確にする必要あります。
3
ルーター不要
事実ではありません。(必要になるケースがあり)
X
4
セキュリティが無料
事実ですが、あまりメリットにならないかもしれません。
5
工事費が実質無料
事実ですが、お得かどうかは総コスト次第です。
6
4.3万円キャッシュバックなど様々な特典がある
事実ですが、お得かどうかは総コスト次第です。
7
提供エリアが限定されている
事実ですが、デメリットというのは変です。残念なだけです。
8
プロバイダーが限定される
事実ですが、デメリットになりません。
9
理論値と実測値が異なる
事実ですが、どのプロバイダーも同じです。
10
回線工事が2回必要
事実ですが、利用開始前だけの話です。
光でんわを入れると3回になることがあります。

料金については、例えば、キャシュバックや割引期間が終了後、契約期間の縛りがない通常料金で、NURO光 < フレッツ光+OCN(プロバイダー料金) ということだけは確実に言えます。

実は本当に要注意なのはこれ

NURO光の利用者にしかわからない、要注意なデメリットは 実はまったく別のところにあります。

それは 災害時における回線品質です。

Twitterで「NURO光 地震」で検索してみるとわかりますが、東日本で大きな地震が発生したときに、NURO光の回線が一時的につながりにくくなる事象が報告されています。ネット上で記録に残っているのは、ここ半年で少なくとも以下の3回です。

2021/10/7  tenki.jp

発生時刻
2021年10月07日 22時41分頃
震源地
最大震度
震度5強
位置
緯度
北緯 35.6度
経度
東経 140.1度
震源
マグニチュード
M5.9
深さ
約80km

2022/3/16 tenki.jp

発生時刻
2022年03月16日 23時36分頃
震源地
(牡鹿半島の南南東60km付近)
最大震度
震度6強
位置
緯度
北緯 37.7度
経度
東経 141.6度
震源
マグニチュード
M7.4
深さ
約60km

2022/4/4 Goo天気

発生時刻
2022/4/4 22:31頃
震源地
千葉県北西部
最大震度
震度2
位置
緯度
北緯35.8度
経度
東経140.0度
震源
マグニチュード
マグニチュード 3.9
深さ
70km

投稿者の地域がわからないのと、NURO光の契約者向けサポートページに障害報告が掲載されていないので、障害を受けた地域とサービス停止時間などの影響範囲がわかりません。

利用者にきちんと障害報告をしないのも通信事業者のあり方としてどうかとおもいますが、今後の地震では注意が必要です。

しかし、このような障害はNURO光だけに発生するわけではありません。

2022/5/4の地震では、フレッツ光が通信不能になったと思われるツイートが見られます。
このときNURO光はダウンしていないようです。

発生時刻
2020/5/4 22:07頃
震源地
千葉県北東部
最大震度
震度4
位置
緯度
北緯35.7度
経度
東経140.6度
震源
マグニチュード
マグニチュード 5.5
深さ
50km

多かれ少なかれ、おそらく他のプロバイダーでも起きていると思われます。

他のデメリットと異なり、この「(災害時の)通信回線の品質」だけは、プロバイダーを変える以外に利用者側で対処の方法がありません。

また、プロバイダーを乗り換えても、移行先で起こる可能性もあります。

災害に強い仕組みをプロバイダー側で用意してもらうよう、利用者としては願うしかありません。