世界一わかりやすい? ThunderboltとUSBの違いとトリセツ(1)

テックSOS

パソコンにも使われ始めたThunderbolt4のポート。スペック表には「USB 4(Thunderbolt4 対応)」と書かれていますが、そもそも「USB4とThunderbolt4の違いはなんだろうか」と疑問に思われるのではないでしょうか?

「Thunderboltとは何か?」「そもそもUSBとは何か?」を解説するとともに、ケーブルやハブを選ぶ上での注意点について説明します。


パソコン周辺の通信規格とコネクターの現状は?

ThunderboltとUSBの違いは?
Thunderboltは「通信規格」
USBは「通信規格」と「コネクター形状」

ケーブル・ハブ選びにおける注意点(次の記事)

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パソコン周辺の通信規格とコネクターの現状は?

「Thuderbolt」と「USB」の違いについての解説がいろいろなサイトに書かれていますが、極めてわかりづらい。

それは、データ転送のための「通信規格」と「コネクターの形状」の話をごちゃまぜにして書いているためだと思います。

パソコンの外部接続の3要素は 「電源」「ディスプレイ」「その他周辺機器」

スマホの場合は、「電源」が最大要素で、たまにパソコンなどの外部機器との接続が問題となります。

パソコンにおいては、

・「電源」は各機器に応じた独自ケーブル
・「ディスプレイ」では、古くはVGA、HDMI、最近ではUSB-Cといったポートとケーブル
・キーボード、マウス、外付けHDDなどの「その他周辺機器」では、USB Type-Aポートを使う

というのがかつての主流でした。

このバラバラな状態を解消し、1種類のケーブルですべてをカバーしようとして生まれたのがThunderbolt4やUSB4といった通信規格やUSB-Cのようなコネクターです。

ただ、これだけではわかりにくいので、「通信規格」と「コネクター」に分けて、もう少し具体的に説明します。

「Thunderbolt」と「USB」の違いは?

コンピューター機器同士を接続して通信させるには、それぞれの機器がもっているコネクター端子にあったケーブルを用意して、決められた通信規格で データをやりとりさせる必要があります。

USBやThuderboltというのは、そうしたデータ通信のためのルールを定めたものなのです。

一方、USBにはコネクターの形状についての決まりもあります。

USBやThunderboltについてわかりにくくしたのは、「通信規格」と「コネクター形状」を複雑な組み合わせにしてしまったUSB時代の悪しき慣習ではないかと個人的には思っています。

はじめに押さえておくと、これからの話がわかりやすいのではとおもうのが以下の2点です。

・「Thunderbolt」は「通信規格」

・「USB」は「通信規格」と「コネクター形状」

順番に解説しましょう。

「Thunderbolt」は「通信規格」

古くからのWindowsPCユーザーには馴染みないかもしれませんが、古くからのMacユーザーが「Thunderbolt」と聞くと、ディスプレイにつなぐためのmini display portとcableを思い浮かべるのではないでしょうか?

Macbook air 2015のThunderbolt2/Mini display portとcable

規格自体はインテルが策定したものですが、実際のコンピューター環境で採用されていたのは、2015年当時はMacのディスプレイポートだけだったような記憶があります。

当時は、通信規格が「Thunderbolt2」のケーブルは、コネクター形状が「mini-display端子」だけでした。

そのため、通信規格だけに言及して、「Thunderboltケーブル」といったり、コネクター形状だけに言及して「mini-displayケーブル」といっても、誤解や買い間違いは起きませんでした。

古いMacユーザーの方が、ひさしぶりにWindows世界に戻ると、ディスプレイ以外にもThunderboltが使われていてちょっと驚きます。

一方、「USB」に馴染んだ古いWindowsユーザーの方は、「Thunderbolt」ってなんぞや?という印象かと想像します。

Thunderboltの規格の歴史を紐解くと、以下のようになっています。

規格
仕様発行日
転送速度
備考
Thunderbolt
2011年2月
最大10Gbps
Thunderbolt 2
2013年6月
最大20Gbps
mini-display端子を採用
Thunderbolt 3
2015年6月
最大40Gbps
USB-C端子を採用
Thunderbolt 4
2020年1月
最大40Gbps

パソコンにおけるThunderbolt通信規格の採用は、WindowsよりMacのほうが歴史が長いです。

例えば、Macbook Airにおける外部接続仕様の変化を調べてみると、以下のようになっています。

参考:MacBook Air のモデルを識別する

接続と拡張性
外観
2017年以前
USB 3ポート(最大5Gbps)x 2
Thunderbolt 2ポート(最大20Gbps)x 1
MagSafe 2電源ポート
SDXCカードスロット

2018年
2つのThunderbolt 3(USB-C)ポートで以下に対応:
充電
DisplayPort
Thunderbolt(最大40Gbps)
USB-C 3.1 Gen 2(最大10Gbps)
2020年
2つのThunderbolt / USB 4ポートで以下に対応:
充電
DisplayPort
Thunderbolt 3(最大40Gb/s)
USB 4(最大40Gb/s)

2017年までのMacbookでは、ディスプレイ接続用のmini-displayポートにThunderbolt2の通信規格が使われていただけでした。

2018年からは、Thunderbolt3の通信規格に則ったUSB-Cポートが採用され、充電、ディスプレイ接続、その他周辺機器接続に対応するようになりました。

パソコンの通信規格とコネクターの歴史において、MacとWindowsの世界の融合が始まったのは、Thunderbolt3の通信規格でUSB-C形状のコネクターが採用されたこのときのように思います。

そして更に2020年からは、同じUSB-CポートながらThunderbolt4の通信規格が採用され、パソコン内部で対応できていれば、1つのUSB-C端子にUSBハブを介して 2つのディスプレイを接続し、表示させることが可能となりました。

「USB」は、「通信規格」と「コネクター形状」

2015年当時のMacの「Thunderbolt2」通信規格=「mini-display端子」といったわかりやすい関係性とは異なり、USBの世界はかなり混沌としています。パソコンだけでなく、スマホの登場により、iPhoneとAndroid端末それぞれで、充電用USBケーブルが変わっていったことにより、混乱に拍車がかかりました。古くからのiPhoneユーザーはLighteningケーブルからUSB-Cケーブルへの移行に悩まされましたし、Androidユーザーも、MicroUSBケーブルとUSB-Cケーブルの違いに混乱したかもしれません。

スマホの各種充電コネクターに対応するための3-in-1 ケーブル

USB端子やケーブルでユーザーが混乱する理由は、

・コネクター端子の種類が何種類も存在すること

・コネクター端子の外観だけからは、通信規格が判別しにくいこと

によります。

通信規格としてのUSBの歴史は以下のようになっています。

規格
仕様発行日
転送速度
備考
USB 2.0
2000年
最大 480Mbps
Type-A端子
USB 3.2 Gen1(旧USB 3.0)
2008年
最大5Gbps
Type-A端子、Type-B端子
USB 3.2 Gen2(旧USB 3.1)
2013年
最大10Gbps
USB 3.2 Gen2×2(旧USB 3.2)
2017年
最大20Gbps
USB4
2019年
最大40Gbps

一方、USBがもつコネクター形状の種類は、代表的なものをざっと上げただけでも以下のようになっています。

参考)初心者でも安心!USB規格や形状について~種類・見分け方編~ (ロジテック)

USBを表記するときには、「通信規格」と「コネクター形状」をあわせて表記します。

USB2.0 Type-A
USB3.1 Gen1 Type-A

USBを語るときに話がややこしくなるのは、この通信規格とコネクター端子形状の組み合わせがとても複雑だからです。

それによって、USBのハブやケーブルを探すときに ユーザーが不安に感じるのは、

「この機器には、このケーブルやハブを購入して大丈夫なのか?」

という点です。

このUSBがもたらすややこしい状況と、USBケーブルやハブを買うときに注意すべき点については、次の記事で更に詳しく解説します。