前の記事でAI翻訳サービスのおすすめについて紹介しましたが、状況を一変させるような新しいサービスが2023年にリリースされました。AI文章要約サービスのおすすめについて最新情報を紹介します。
玉石混合だったAI要約サービス
AIで無料で文章を要約してくれるサービスを探すとき、2023年前半まではどのサービスもドングリの背比べ状態でした。以下に例を挙げますが、文字数制限があったり、出力する分量を調整できなかったり、要約した文章の品質が今ひとつだったりで、どれも本格的な実用に耐えなかったのです。
「文章要約サイトのおすすめ」などの記事もいくつかありますが、そこに掲載されているものは、どれも似たりよったりです。代表的なものをいくつかピックアップしてみます。
サービス名称 | 特徴 | 文字数制限など注意点 |
ChatGPT | OpenAIが開発したチャットボット。汎用的な問いかけに対して回答可能 | 4096トークンの制限があり、日本語で2,000文字を超える長文の要約には不向き |
HIX Summarizer | 大規模言語モデルをGPT-3.5とGPT-4から選択でき、上限の文字量に応じた金額で月額課金 | 無料で試せるのは入力文字3,000 Characters、出力文字300語まで |
ELYZA DIGEST | AI研究で有名な東大松尾研発のスタートアップ。どんな文章でもAIが3行に要約 | URL指定もできるが、ニュース記事などで本文と無関係の広告バナー等が入っているとAIが混乱し、おかしな要約になる |
タンテキ | ニュース記事の要約 | 2023年8月にサービス終了 |
一石を投じたか?Google Bard
生成AIの研究・開発は、Microsoft, Googleなどの大手ハイテク企業が莫大な投資をしながら、しのぎを削っており、文字通り日進月歩の状態です。たった一ヶ月で状況が一変することも珍しくありません。
2023年の大半は、「ChatGPT」が話題の中心でした。ChatGPTは、一般のニュースでも取り上げられたり、活用法の書籍が書店の店頭に多数並ぶなどしたのです。
ChatGPTのような会話型AIの登場で「検索して情報を得る」という人々の考え方が、「AIに聞いて情報を得る」という考え方に変化することに警戒感を抱いていたGoogleが、遅ればせながら投入したのが「Bard」です。2023年2月の公開当初は、大規模言語モデルLaMDAを利用していたBardですが、2023年5月には、PaLM2という大規模言語モデルに変更し、性能を改善しています。
ただ、検索エンジンに会話型AIを組み込むことは、検索広告収入でIT業界を支配してきたGoogleのビジネスモデルを破壊するのではないかとの懸念もあります。現在は、ChatGPTを支援しているMicrosoftからの攻勢をGoogleが一方的に受ける形になっています。
Bardの文章要約性能
話がそれてしまいましたが、このGoogleのBardは文章要約性能が高いことが確認できています。(2023/12時点)
文字分量は無制限ではないですが、英文で6,000単語、30,000文字くらいの原稿であればうけつけてくれるようです。例えば、こちらのサイトにあるYouTube動画「AI and the Power of Simulation」の英文Transcript (34,000文字、6,000単語)を入力すると、文章の最後のほう3,000文字くらいは入力できませんでしたが、一応受け付けてくれます。そして、「この文章を3分の1の分量に要約し、日本語に訳してください」と依頼すると、以下のような回答が返ってきます。
主なトピック
キーポイント
例
全体的な評価 この動画は、さまざまなアプリケーションにおけるAIとシミュレーションの強力な組み合わせを強調しています。これらの技術は、多くの分野で効率性、精度、安全性を向上させることができます。 |
内容はほぼ正確で、この品質でしたら十分実用に耐えうると思います。
一方のMicrosoftですが、GPT-4をベースにしたBingは、2,000文字の制限があり、長文翻訳や要約を依頼するには、現時点では適切ではありません。
しかし、Microsoftは、「Copilot」という形で自社のOS、ブラウザ、Office製品の利用者に様々な形でAI機能を提供していくことが発表されています。
参考記事:マイクロソフト、「Copilot」を強化–「GPT-4 Turbo」と最新「DALL・E 3」を採用 (2023-12-06 ZDnet)
変化がめぐるましい生成AIの動向は、2024年も目が離せません。