Mac mini M2 Proをトリプルディスプレイにして、仕事にプライベートに使っていましたが、Windowsパソコンを自宅で利用する必要がでてきました。Windowsパソコンもトリプルディスプレイにしたいのですが、Macとの間でのディスプレイケーブルの切替が面倒です。良い方法がないか調べてみました。
Macの3画面環境に新たな課題が
完成したかに見えたMac mini M2 Proのトリプルディスプレイ環境に新たに困った問題が生じてきました。
2021年8月にMac mini M1を購入してから、Macでトリプルディスプレイにする方法をいろいろと探していました。その2年後の2023年8月に、Mac mini M1を45,000円で売却し、外部モニターに3画面出力可能な Mac mini M2 Pro を、思い切って17万円で購入しました。ようやく手に入れた念願のMacトリプルディスプレイ環境。さらに今年2024年5月には、モニターの1つをPHILIPSの4Kモニターに買い替えて、これ以上はないと思えるくらい快適な環境が構築できたつもりでした。
Mac mini M2 Proのトリプルディスプレイ環境
ところが、最近になってWindowsパソコンを自宅で使わなければならない状況になってしまいました。Windows OS上でしか動かない、Microsoft PowerBIやAccessを使う必要がでてきてしまったのです。せっかくモニターが3台もあるので、Windowsパソコンでも Mac同様にトリプルディスプレイ環境で作業したいと考えています。
Windowsパソコンでもトリプルディスプレイにしたいが・・・
困ったことに、仕事とプライベートで、WindowsパソコンとMacとの間の切替えを 一日何回か行わなければなりません。
現在Mac miniには、USB-C x 2本, HDMI x 1本, USB周辺機器を束ねたUSB-A x 1本の合計4本のケーブルが接続されています。これを WindowsパソコンとMacの間で、頻繁につなぎかえるのはかなり面倒です。そこで簡単に切替ができる方法がないかを探すことにしました。
2台のパソコン間で、周辺機器を切り替える方法として、大きくわけて2つの方法があります。
1つは、USB-Cハブを使う方法です。この方法では、すべての周辺機器をUSB-Cハブに接続しておき、とりまとめたUSB-Cのケーブル1本を利用するパソコンに手動でつなぎ替えます。
USB-Cハブ(ドッキングステーション)を使った手動切替
もう1つは 「KVMスイッチ(Keyboard/Video/Mouse)」と呼ばれる製品を使う方法です。あらかじめ2台のパソコンとすべての周辺機器をKVMスイッチにつないでおきます。どちらのパソコンに周辺機器をつなぐか、ボタン1つで切替えられます。
KVMスイッチを使った2台のパソコンの切替
どちらの方法をとるにも一長一短があります。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
USB-Cハブ
KVMスイッチ
メリット
必要となるケーブルの数は非常に少なくてスッキリする。
ケーブルのつなぎ替えが一切発生せず、ボタン1つで接続先パソコンを切り替えられる
デメリット
パソコンを切り替えるごとに、USB-Cケーブルのつなぎ替えが発生する
パソコンやKVMスイッチの仕様によっては、必要となるケーブルの数が多くなる(ごちゃごちゃする)
それぞれの方式について、具体的な製品をみながら特徴を詳しく調べてみましょう。
USB-Cハブの例
まずは「USB-Cハブ」です。「USB-Cハブ」は、ディスプレイを含む複数の周辺機器との接続ケーブルを接続し、1つのUSB-Cケーブルに束ねてパソコンに接続します。接続するパソコンを切り替えるときにUSB-Cケーブルの抜き差しが発生します。
同様の機能をもつ製品を「USB-Cドッキングステーション」と呼んでいるメーカーもあります。ドッキングステーションはどちらかというとノートパソコン向けです。ケーブルをつなぎ替えるというより、ノートパソコンを乗せ替えるイメージです。
様々なメーカーから多数の製品が販売されており、製品価格は 接続インターフェースの種類と数、製品の形状(ハブ、ドッキングステーションなど)によって大きく変わります。
トリプルディスプレイ環境の場合、USBハブを使えば、HDMI x2, DisplayPort x1の3本のケーブルを1本のUSB-Cケーブルに束ねてパソコンに接続できます。トリプルディスプレイの場合、接続に必要な映像ケーブルは3本だけなので、ケーブルまわりが非常にスッキリします。
しかし、この製品を購入する前にMacユーザーは注意すべき点があります。このUSB-Cハブでは、Macからはトリプルディスプレイはできない のです。
Windowsパソコンは最大5画面
Macは最大2画面まで
これは、Macがデイジーチェーンを仕様したMST(Multi-Stream Transport)に対応していないためと言われています。
一方、DisplayPort 1.4に対応したUSB-Cインターフェイスをもつ Windowsパソコンでは、MST機能により1つのUSB-Cポートから2K解像度(Full HD 1920×1080)までのモニターを2台接続可能です。
MacでマルチディスプレイをできるようにしたUSBハブもあるのですが、3万円前後とかなり高価になります。この製品では、「DisplayLink」というソフトウェアによる映像圧縮技術をつかっています。
DisplayLinkは、本来デュアルディスプレイができないMacBook Airなどの製品において、外部2画面出力を可能にする機能として紹介されることもあります。しかし、DisplayLinkを使う場合には、以下の2点について注意が必要です。
ソフトウェアによる映像圧縮を利用しているため、Macパソコンに負荷をかけることがある。
AmazonPrimeやNetflixなどの著作権保護のかかった動画についてはDisplayLinkを通すと表示できない場合がある。
価格の高さ、Macへの負荷、機能制限の面から、DisplayLinkを使ったUSB-Cハブは、個人的には、手が出しにくい製品です。
KVMスイッチの例
次に、KVMスイッチです。
KVMスイッチを利用して、トリプルディスプレイを実現する場合、もっとも原始的かつ確実な方法は、2台のパソコンと、すべてのディスプレイとをケーブルで接続し、どちらのパソコンへの接続をアクティブにするかをKVMスイッチ内部で切り替える方式です。
トリプルディスプレイの場合には、まず、両方のパソコンから3本づつディスプレイケーブルをKVMスイッチに接続します。そして、KVMスイッチと3台のディスプレイをそれぞれケーブルで接続します。KVMスイッチを切り替えると、利用したいパソコンに繋がっている3本の映像ケーブルと、KVMスイッチから3台のディスプレイ繋がっている3本のケーブルが、内部で電気的に接続され、指定したパソコンの映像が3台のディスプレイに表示されます。
KVMスイッチによる3台のディスプレイと2台のパソコンの切替
仕組みは非常に単純なので、価格も1万円を切る値段で販売されています。ただし、トリプルディスプレイをこの方式で行う場合、接続に必要な映像関係のケーブルは、3本 x 3セット = 9本となり、ケーブルがかなりごちゃごちゃしてしまうのが難点です。
トリプルディスプレイに対応した製品は見つけられていませんが、デュアルディスプレイ対応であれば、もう少しケーブルをスッキリでき、かつケーブルの抜き差しが不要な製品があります。KVMスイッチとUSB-Cハブのいいとこ取りのような製品です。
ノートパソコンには PD対応のUSB-C ケーブルで接続し、Macには、DisplayPort と HDMI の2本のケーブルで接続します。KVMスイッチと2台のディスプレイの間も、同じくDisplayPort と HDMI の2本のケーブルで接続します。付属のスイッチで、パソコンの切替が行なえます。
ただし、ここでもmacOS特有の制限があります。macでデュアルモニターにする場合は、4K@30Hzの出力になってしまうので注意が必要です。
とりあえずの暫定措置は?
WindowsとMacの間で、トリプルディスプレイを切り替える場合、KVMスイッチも、USB−Cハブも一長一短があり、どちらかですべて解決できるようではなさそうです。
仕方がないので、手元にあったケーブルと切替器を使って、暫定的に以下の環境を構築しました。
ディスプレイ本体の入力ソース切替機能と、HDMI切替器をつかって、画面に表示するパソコンを切り替える方法です。
MacとWindowsパソコンの間でトリプルディスプレイを切り替える(暫定措置)
DELLとPHILIPS製品については、背面のスイッチで簡単に入力元パソコンを切り替えられました。HPのディスプレイについては、メニュー操作がやや複雑で入力元パソコンの切替が簡単にできなかったので、家にあったHDMI切替器を間に挟み、ボタン1つで切り替えられるようにしました。
右から4番目の「入力信号」ショートカットボタンを押して
「DP」「HDMI」のどちらかを上下↑↓で選択し、右から2番目の「✓」ボタンを押すだけ
背面のスイッチを右に倒して、メニューを表示し、「入力」を選択
HDMI, DisplayPort, USB-Cのいずれかの入力ソースを選択し、背面スイッチを右に倒して確定
1点、工夫した点は、PHILIPSのモニター
27E1N5900E/11 と、Windowsパソコンとの接続には、DP Alt mode、PD(Power Delivery: 給電)対応のUSB-Cを利用した点です。
Windowsパソコンには、HDMI x 1, USB-C x 2 の3つのポートしかなく、そのうち 1つのUSB-C ポートは パソコンの給電に利用しなければなりません。USB-Cポートを利用することで、PHILIPSモニターからWindowsパソコンへの給電と、WindowsパソコンからPHILIPSモニターへの映像出力を 1本の USB-Cケーブルで実現できました。残り2つのインターフェースは、別の2台のモニターに接続しています。
USB-Cケーブルで、映像出力と給電を同時に実現
なお、映像を出力する場合、USB-Cケーブルの選択には注意が必要です。百均などで購入したUSB-Cケーブルの中には、充電とスマホのデータ転送(480Mbps程度)には対応していても、映像出力に対応していないものもあります。少し高くても、映像出力に対応したUSB-C ケーブルを選んでください。
この方法では、映像ケーブルは 3本 x 2セットの合計6本必要となります。USB-Cハブの3本と、KVMスイッチの9本のちょうど中間となるため、ケーブルまわりのスッキリ度合いも中くらいです。
パソコンの切替も、3台のディスプレイそれぞれにおける接続先を切替え、キーボードなどが接続されたUSB-Aハブを切替えるだけなので、迅速に行えます。