間違いだらけのモニター選び(2) モニターの高さ調整は意外と難しい?

在宅勤務の達人

一般に、パソコン作業用にモニターを選ぶとき、大きさ・機能・価格で選定するケースがほとんどです。長時間の事務作業を行っても体に不調をきたしにくい モニター選びをするにあたって、一般的なサイトであまり語られない重要な3つの要素の1つ目「モニターの高さ」について検討します。

前回の記事:(間違いだらけのモニター選び: 機能・価格の前に検討すべきポイントは?)で書いた通り、機能や価格について検討する前に考えなければならない以下の2つのポイントを挙げました。

1.モニターの高さ
2.モニターまでの距離

今回の記事は その1つ目「モニターの高さ」について検討します。

モニターの高さについてのメーカーの説明例
厚生労働省のガイドラインを読み解く
見落としがちなポイント:モニターの高さはモニターだけでは調整できない?
解決策は?

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モニターの高さについてのメーカーの説明例

一般的には、モニターの機能については事細かに説明しても、モニターの適切な利用方法について説明しないメーカーがほとんどです。

しかし、例えば富士通のように、「パソコンを使う時の姿勢」のように具体例をあげてモニターを使うのに最適な環境について説明している良心的なサイトもあります。

デスクトップパソコン使用時(富士通のサイトから引用)

しかし、こうしたサイトでも 専門家の監修を受けた医学的・科学的に正しい情報をすべて掲載しているわけではないので注意が必要です。

この富士通の例では、「画面は水平より下に設置する」と書いてあります。

実は、これは誤解を招きやすい表現です。

というのも、

「画面の上端はほぼ眼の高さと同じにしたほうがいいのか」

「画面の上端が水平より下にさえあればいいのか」

のどちらにでも解釈が可能だからです。

(1)上体・頭が垂直な上体で、モニター上部がほぼ眼の高さと同じ、もしくはやや下になる高さ
(2)モニター位置が眼の高さの水平位置より低く、首が前傾姿勢

富士通のサイトに掲載されていた図を改めて見てみると、首をかなり前に傾けているようにも見えます。

デスクトップパソコン使用時(富士通のサイトから引用)

つまり「画面は水平より下に設置する」と書いただけでは、「どの状態の何に対して水平か」がわからず、上記2例のどちらもOKであると誤解される可能性があります。

厚生労働省のガイドラインを読み解くと

厚生労働省では、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和3年12月1 日改正)を発行しています。その中には、事業者が従業員を長時間にわたってモニターを使った作業に従事させる場合の注意点について、詳細に書かれています。

例えば、ディスプレイ(モニター)の高さについては、「5 作業管理」の1項目として以下のように記載されています。

5 作業管理
   (中略)
●ディスプレイ
(イ)おおむね 40cm 以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見や すいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。
(ロ)ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下に なる高さにすることが望ましい。
(ハ)ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大き くなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。
(ニ)ディスプレイは、作業者にとって好ましい位置、角度、明るさ等に調整すること。
(ホ)ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮し、 文字高さがおおむね3mm 以上とするのが望ましい。

これによると、「ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下に なる高さにすることが望ましい。 」となっています。

この厚生労働省がガイドラインで推奨しているケースは、先の2つの例でいうと左側の場合:

(1)の「(上体・頭が垂直な上体で)モニター上部がほぼ眼の高さと同じ、もしくはやや下になる高さ」

(1)上体・頭が垂直な上体で、モニター上部がほぼ眼の高さと同じ、もしくはやや下になる高さ

を指しています。

(2)のように、「上体もしくは頭を前傾にしないとモニターが見にくい状態」は、首や肩に負担がかかり、人間工学的に長時間作業向けに推奨される状態ではありません。

見落としがちなポイント:モニターの高さはモニターだけでは調整できない?

さて、この場合、「モニターの高さを付属のモニタースタンドで高くすればいいのでは?」と考えると思います。

ネット上に氾濫する「モニター選び方」サイトには ほとんど触れられていないので見落としがちですが、実は

この「(上体・頭が垂直な上体で)モニター上部がほぼ眼の高さと同じ、もしくはやや下になる高さ」

の状態を モニター付属のモニタースタンドだけで作り出すのは意外と難しいのです。

具体例をあげてみましょう。

身長 170cmの人が在宅勤務するケースを想定します。

  • 家には 高さ 70cmの机があり、椅子は、床から座面までの高さが44cm。
  • まっすぐ前をみて座ったときに、座面から目線までの高さは80cm。
  • 21.5インチのモニターを購入し、モニター上端までの高さは 40cm。

このとき、床から目線までの高さは、44 cm + 80 cm = 124 cm

床からモニターの上部までの高さは、70 cm + 40 cm = 110 cm です。

姿勢を正したときの目線の水平線の高さと、机の上のモニター上端までの高さの差は、124cm – 110cm = 14cm 。実に14cmもの差があります。

この14cmの差を、些細な差とみるかどうかは個人差があると思いますが、

もし、肩が凝る、首が疲れるなどの症状が出るようであれば、モニターの高さを調整し、この差を解消する必要があります。

しかし、特に安価なモニターを購入してしまうと、モニタースタンドの高さ調整が殆どできない場合があります。

その場合は、モニター用机上台などを購入して高さを調整することになります。

しかし、どのくらいの高さまで上げれば快適なのかは、やってみなければわからないところが問題です。

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机上台を購入したあとに、高さが足りないことがわかり、モニター台とモニターの間に分厚い本を挟む、などおかしなことになりかねません。

解決策は?

このように、長時間のデスクワークに適したモニター選びには、機能の前に検討しなければならない点があります。

しかもそれは、厚生労働省のガイドラインが示しているように

椅子の座面の高さ、机又は作業台の作業面の高さ、キ ーボード、マウス、ディスプレイの位置等を総合的に調整」

しなければならず、必ずしもモニター選びだけで解決できる問題ではありません。

また、「モニターの高さ」だけに気をつけていればよい というものでもありません。

次の記事で、もうひとつの重要な要素である「モニターの適正視聴距離」について検討します。