「大学生にMacは不向き」説は本当か?気をつけたいパソコン選び3つの都市伝説

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毎年春が近づくと、入学が決まった新入生にパソコン選びが必要になります。一方でパソコンを初めて選ぶ不慣れな学生や保護者の方々に、できるだけ高いものを買ってもらおうと考えている人たちがいるのも事実です。パソコン選びでいまだにはびこっている3つの”都市伝説”について解説します。

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パソコン選びでいまだにはびこる都市伝説

新入生にむけていろいろな商品が紹介される2月〜4月。

「新入生 パソコン おすすめ」で検索すると、パソコンのおすすめ機種を紹介している記事を多数目にします。

それらの記事は、たいていパソコンメーカー、家電量販店、大学生協が出しているものですが、中には根拠に乏しい、かなり無茶な論法でおすすめ商品を紹介している記事もあります。

パソコンメーカーも、家電量販店も、大学生協も自分のところで取り扱っている機種をできるだけ多く売りたいのは本音でしょう。しかし、そこそこパソコンに詳しい人から見ると、「学生や保護者が知らないのをいいことに、結構ひどい売り方をするなぁ」と感じるケースがあるのも事実です。

そもそも新入生は、下宿、家具、家電製品など何かと物入りです。

合格気分もあり、親御さんの財布の紐も緩みがちです。

こういうときだからこそ、不必要に高いものを買わされないように気をつけなければなりません。

ここでは、パソコン選びでいまだによく目にする、騙されやすい3つの「都市伝説」について解説します。

都市伝説1:大学生協がすすめるパソコンがベスト
都市伝説2:Windowsが無難
都市伝説3:4年間使えるハイスペックモデルがおすすめ

都市伝説1:大学生協がすすめるパソコンがベスト

新入生にとって、これから4年間お世話になるのは大学生協。

下宿探し、家具・家電製品選び、食生活で頼りにするのはもちろんですが、パソコン選びでも頼りたくなるのは自然な流れです。

他に情報源がないと「大学生協がすすめるパソコンがベスト」と思いがちですが、これは必ずしも正しくありません。

その理由は、

”大学生協”は”大学”ではない

からです。

大学生協=大学ではない!

大学生協はあたかも”大学おすすめ”であるかのように、特定のパソコンを勧めてきます。例えばこんな文言を目にすることがあるでしょう。

大学のカリキュラムや学生生活を誰よりも理解しているので、他では買えない大学生に最適の仕様や機能を備えたオリジナルのパソコンを、全国の大学生協と協同でメーカーに作ってもらっているからです。

では「大学のカリキュラムや学生生活を誰よりも理解している大学生協は実際にどんな機種を学生に勧めているのでしょうか?

以下は旧帝大の大学生協がすすめている Windowsパソコンの一覧です。

北海道大学生協 Surface Pro 7セット
東北大学生協 富士通 LIFEBOOK UH
東京大学生協 dynabook ダークテックブルー
名古屋大学生協 富士通 LIFEBOOK UH
京都大学生協 Panasonic Let’s note CF-FV
神戸大学生協 Surface Pro9
Surface Laptop Go2
九州大学生協 Panasonic Let’s note FV
dynabook GCX83

大学生協によって、おすすめ機種にかなり違いがあります。

大学教養課程の内容や必要となるパソコンのスペックは大差ないはずなのに、なぜ大学生協ごとに推奨機種にこれほど違いがでるのでしょうか?

それは、大学生協も非営利団体ではなく、販売店の一種だからです。

販売店であれば、ある一定の利益をあげなければならず、そのためには特定メーカーと握って、特定の機種を大量に仕入れ、売り切る必要があります。

これらの機種は、”生協職員が選んだ大学生協のおすすめ”であって、”大学教授が選んだ大学のおすすめではない”ことに注意が必要です。

生協がいろいろな機種を紹介してしまうと、かえって学生や保護者が迷ってしまうのも事実です。

生協職員もパソコンに詳しいわけではないので、学生や保護者からいろいろ聞かれても説明できなくて困るかもしれません。

そういった売る側・買う側の困りごとをなくすための”おすすめ機種”であることは頭の片隅に入れておいたほうがよいでしょう。

おすすめパソコンのスペックは?

それでは「大学生向けおすすめパソコン」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

本来おすすめパソコンを示すには、メーカーや機種ではなく、まずスペックを示すべきと思います。

この点においてもっとも良心的と思われるのは、東大駒場生協の解説です。

その理由は以下の2点です。

  • 大学が推奨するパソコンのスペック表を提示している
  • どのような条件のときのスペック表かを明示している

大学が推奨するパソコンのスペック表を提示している

東大駒場生協のページが良心的だと思ったのは、いきなりメーカーや機種を紹介する前に、「大学が推奨するパソコンのスペック表」を明示しているからです。

言い換えると、これらのスペックを満たしてさえいれば、どのメーカーのどの機種を購入しても、授業には支障がないということです。

(出典:東京大学消費生活共同組合

どのような条件のときのスペック表かを明示している

さらに、良い点は、このスペックが学生生活のどの期間に対応できるものかも書かれている点です。

必要スペックは、教養学部前期課程での2年間において必要最低限と思われるスペックであって、全在学期間にわたって、この仕様のパソコンが使用できることを保証するものではありません。
(出典:東京大学消費生活共同組合

大学の1,2年生においては通常教養課程であり、文系でも理系でも必要なパソコンのスペックは大差ありません。

しかし、専門課程に進むにあたり、学科によっては高いスペックのマシンが必要になることもあります。例えば動画を編集するためにメモリやストレージが多く必要だったり、画像処理や統計解析で高い性能のCPUやGPUを必要とする場合です。

ただこれはごく一部の学生に当てはまることであり、学生全員が高額なパソコンを購入する必要はないのです。

都市伝説2:Windowsが無難

パソコン選びでネットを検索していると「Windowsパソコンを選んでおいたほうが無難」という記事も未だに目にします。

その理由として挙げられているのは、

  • 「Windows限定のソフトが多い」
  • 「就職すると会社のパソコンはWindowsになることがほとんど」
  • 「みんなが使っているから安心」

などですが、これらも事実に反する、あるいは根拠に乏しい理由です。

1つ1つ見ていきましょう。

Windows限定のソフトが多い?

まず「Windows限定のソフトが多い」については間違いで、これは十数年以上前の話です。正確には、「Windows限定のソフトも存在する」で、現在はゲーム以外のたいていのソフトウェアは、MacでもWindowsでも動きます。

そもそも、大学の教養課程で使うソフトで  Windowsだけでしか動かないソフトなどありません。

学生がパソコンが必要となるのは以下のような場合、右側にあるようなソフトを使いますが、これらはWindowsでもMacでも動きます。

学業におけるシーン 利用するソフトウェア
レポート・論文作成 Microsoft Word, Excel
オンライン授業・テスト Zoom もしくは Microsoft Teams
授業資料のダウンロード Chrome, SafariなどのWebブラウザ、Acrobat Reader
授業・ゼミでのプレゼン Microsoft PowerPoint
授業中にメモをとる Wordもしくはテキストアプリ、(iPadを使える場合はGoodNotesのような手書きアプリ)
大学・教授からの連絡 メールソフト
わからないことを検索する Chrome, SafariなどのWebブラウザ
就活の説明会や面接を受ける Zoom もしくは Microsoft Teams
プログラミングの授業 各種プログラミングソフト

 

就職すると会社のパソコンはWindowsになることがほとんど?

「就職すると会社のパソコンはWindowsになることがほとんど」と書いている記事もありますが、これも昔と状況が変わってきています。

外資系企業や国内IT企業では、MacBookを採用している企業も多いですし、WindowsとMacを選択できるようにしている企業もあります。

WindowsかMacか、OSの違いによって、OS上で動くソフトウェアの操作性に若干違いがある場合がありますが、違いにはすぐ慣れます。

みんなが使っているから安心?

これは、パソコン選びの理由としては、あまり前向きな理由ではないでしょう。

実際には、多くの大学生協で、WindowsパソコンとMacBookを並べて紹介しています。

極端な例でいうと、東大のように「学内のパソコンはすべてMacなので、MacBookを推奨」している大学もあるのです。

東大の学内パソコン環境

都市伝説3:4年間使えるハイスペックモデルがおすすめ

これも先の「都市伝説1」で書いたとおり、教養過程と専門課程で必要となるパソコンのスペックは異なる場合があり、ハイスペックパソコンがすべての学生に必要となるわけではありません。

大学生協のパソコン紹介をみるとこんなウリ文句も目にします。

「高価にみえても4年間安心して使え絶対にお買い得です」

そこで紹介されている機種はこんなものだったりします。

 230,030円
 (4年間メーカー保証+4年間動産保証付サポートサービス/税込)
  • ディスプレイ/14型QHD(2160×1440)
  • OS/Windows 11 Professional 64bit
  • ストレージ / SSD 512GB (半導体ディスク)
  • プロセッサ/ Intel Core i7-12世代
  • メモリ/16GB ×1(空きスロットなし)

230,000円!

これからいろいろと物入りのときにパソコン1台に 23万円って高すぎないでしょうか?

学生全員が、「4年間安心して使え絶対にお買い得」という文句に踊らされて、こんなに高額なものを買う必要はないと思うのです。

むしろ前半2年は最低限のスペックに抑えておいて、専門過程に進むときになって、ハイスペックなパソコンが必要になる人だけが、買い換えてもよいのではないでしょうか?

仮に、もし20万円も予算があるのであれば、パソコンに加えて、タブレット端末、特にiPad+Apple Pencilを購入すると、非常に便利な学生生活を送れるでしょう。

iPadの活用については、以下の動画が大変参考になります。

東大生の学修スタイル

おすすめパソコンは?

さて、これまでお話したパソコン選びの都市伝説を踏まえた上で、新入生はどんなパソコンを選べばよいのでしょうか?

パターンとしてはだいたい以下の4つに分類されるのではないかと思います。

「パソコンにはできるだけお金をかけたくない」

「多少お金がかかってもいいのでかっこいいパソコンが欲しい」

「デジタル機器をフル活用して快適な学修生活を送りたい」

「途中で買い換えるのは面倒なので、高くても4年間使えるものがほしい」

それぞれの場合、どんなパソコンが向いているのでしょうか?

種類が多く、特に選択するのが難しいWindowsノートパソコンについて、こちらの記事で初心者でも選べるようなわかりやすい解説をしてみます。

初心者でも簡単!3+3+3の要素で決めるWindowsノートパソコンの選び方