FXトレーダーにとって、同時に複数のチャートや情報を監視できる「6画面マルチモニター環境」は一種のステータスであり、効率的な取引を行うための大きな武器です。特にFXに集中して取り組みたい初心者個人トレーダーにとっては、6面モニターのトレード環境は憧れの存在でしょう。
しかし、実際に6枚のモニターを並べようとすると、物理的な制約やコスト面での課題が立ちはだかります。本記事では、一般的な6面モニター環境の課題を整理した上で、macOSの機能と複数デバイスを組み合わせて「簡易版6面モニター環境」を構築する方法を紹介します。
一般的な6面モニター環境の構築
まず、王道ともいえる「6面モニター環境」を考えてみましょう。
多くのトレーダーが採用しているのは、23.8インチ以上のモニターを6枚並べる構成です。チャート画面を大きく複数表示できるため、通貨ペアごとに視覚的な把握がしやすく、瞬時の判断に役立ちます。
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Windowsパソコンでは、予算をかけさえすれば割と簡単に構築できます。ただ、これまで難しいと言われてきたMacパソコンの6画面環境も、 Mac mini M4の登場によって比較的安価に構築できるようになりました。
参考記事)Macで6画面モニター環境を作るベストな方法は?Windowsパソコンに負けないコスパを実現
ただし、この環境を実現するには次のような課題があります。
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設置スペースの確保
23.8インチ以上のモニターを6枚並べると、横幅・高さともに相当のスペースを必要とします。一般的な自宅のデスクでは収まりきらないことも珍しくありません。 -
モニターアームの必要性
6枚をきれいに並べるにはモニターアームが必須です。アーム1本で2枚支えられる製品もありますが、それでも複数本が必要になり、設置の難易度が上がります。
もっとコンパクトに6面モニター環境を作れないか?
ここで視点を変えてみましょう。
必ずしも「6枚すべてが大画面」である必要はないのでは?という考え方です。
例えば、トレードで最も重要なチャート表示用モニターは大画面で確保し、その他の情報は小さめのディスプレイに分散させる。そうすれば、省スペースかつ実用的な環境を実現できます。
具体的には、次のように用途を分けるイメージです。
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大画面が必要なもの
主要通貨ペアのチャート(3画面) -
小さな画面でも十分なもの
SNS(X / Twitter)
経済指標カレンダー
YouTubeやニュース配信画面
このように役割を切り分ければ、「設置スペースは必要最小限、モニターの数は6枚」というバランスの取れた構成が可能になります。
簡易版6面モニター環境の構築方法
では実際に、コンパクトながら6面モニター環境を実現する方法を解説します。
■ 用意するもの
- Mac mini(M4推奨)
- MacBook Air
- iPad
- 23.8インチモニター ×3台
- モバイルモニター(15インチ程度のもの) ×1台
外部モニター 3台に加えて、MacBook Airの内蔵ディスプレイ、モバイルモニター、iPadの画面をあわせて、合計で6画面構成となります。ポイントは、「メインモニター 3台をMac miniで操作」し、「サブモニターにMacBook AirとiPad、モバイルモニターを活用する」点です。
■ 構築手順
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Mac miniにモニター3台を接続
メインとなるトレード用チャートをここに表示します。Mac mini M4なら十分な性能があり、3台接続も問題なくこなせます。 -
MacBook Airにモバイルモニターを接続
こちらは経済指標カレンダーやSNS表示用。モバイルモニターを使うことで、省スペースかつ柔軟に設置できます。 -
iPadを情報表示用に追加
YouTubeの実況配信やニュース速報を表示。タッチ操作もできるので、サッと切り替える用途に便利です。 -
「ユニバーサルコントロール」で接続
macOSの機能「ユニバーサルコントロール」を活用します。これにより、1つのキーボードとマウスでMac mini・MacBook Air・iPadをシームレスに操作可能になります。
つまり、まるで1台のマシンに6画面が接続されているかのように扱えるわけです。
実際の構築例
さて、これらを使って実際に構築した”簡易”6画面環境がこちらです。
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上段の3つのモニターは、Mac mini M4 (もしくは Mac mini M2 Pro)に繋がれています。
下の段の3つの画面のうち、中心にはMacBook Air, 左がMacBook Airにつながれたモバイルモニター、右がiPadです。
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キーボードとマウスは1組しかありませんが、Mac miniと MacBook Air, iPadは、ユニバーサルコントロールで接続されているので、マウスカーソルは6つの画面の間を自由に行き来できます。
私のMacBook Airは M2モデルで、外部モニターは1台しか接続できないため、下段の3つ目のモニターにはiPadを使いました。もし、MacBook Air M4モデルを持っている場合には、外部モニターが2台接続できるため、更に安価に6画面トレード環境を構築できます。
MacBook Airに接続する外部モニターは、1台あたり1万円前後で購入できます。モバイルモニター専用の電源アダプターから給電が必要なモデルと、パソコンのUSB-Cポートから給電できるモデルがあります。私のおすすめは、外出時に携行が楽な、パソコンのUSB-Cポートから給電できるモデルです。以下、そのタイプのモデルの一例です。
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EVICIV モバイルモニター 15.6インチ
解像度 1920 x1080 |