2025年最新|Wi-Fi 7は時期尚早?おすすめのWi-Fiルーター徹底解説

光回線の速度改善 光回線の極意

家庭でもオフィスでも、ネットワーク環境の快適さを左右するのが「Wi-Fiルーター」。2025年現在、次世代規格「Wi-Fi 7」に対応した製品が販売されはじめています。しかし、新しい規格が出たからといって、すぐに買い替えるのがベストとは限りません。本記事では、Wi-Fi規格の種類、Wi-Fi 7対応ルーターを選ぶ際の注意点、スマホやパソコンのWi-Fi 7対応状況、そしておすすめのWi-Fiルーターについて解説します。

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Wi-Fi規格の違いを整理しよう

まずは、現在主流となっているWi-Fi規格の違いを整理しておきましょう。

規格 最大通信速度(理論値) 登場時期 主な特徴
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) 約6.9Gbps 2013年頃 5GHz帯対応、従来の主力規格
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) 9.6Gbps 2020年頃 複数端末同時通信に強く、混雑に強い
Wi-Fi 6E 9.6Gbps 2023年頃 6GHz帯を利用可能、干渉が少ない
Wi-Fi 7(IEEE 802.11be) 46Gbps 2024年頃 帯域幅320MHz・MLO対応、超高速通信

現在の最新のWi-Fi規格は、「Wi-Fi 7」です。Wi-Fi 7は、理論値でWi-Fi 6の約5倍もの通信速度を誇ります。しかし、これは「ホスト(ルーター)」と「クライアント(スマホやPC)」の両方がWi-Fi 7対応である場合に限られます。片方がWi-Fi 6であれば、通信はWi-Fi 6の速度に制限されます。

Wi-Fi 7を選ぶ前に気をつけたい注意点

「Wi-Fi 7の 理論最大速度が 46 Gbps」と聞くと非常に魅力的に思えます。しかし、早合点は禁物。現時点でWi-Fi 7対応のルーターを導入する際には、以下の点を理解した上で購入することをおすすめします。

① 対応端末がまだ少ない

Wi-Fi 7対応ルーターは続々と登場していますが、対応するスマートフォンやパソコンはまだすべての機器が対応しているわけではありません。ルーターだけを先に購入しても、クライアント側のスマホやパソコンがWi-Fi 7に対応していなければ、その性能を引き出せません。その点を理解した上で、将来を見据えて購入を決定してください。

② 通信速度は光回線に依存

最大46Gbpsという数字はあくまで理論値。実際の通信速度は、距離・障害物・接続機器数などの環境要因によって大きく低下します。また、室内でのWi-Fi通信の速度は、大元となる光回線の速度を超えることはありませんので、過度の期待は禁物です。現在、一般的な家庭用光回線の速度は、1ギガ(1 Gbps)が主流です。NURO光などの一部の通信事業者、一部地域では、2 Gbpsや10 Gbpsの通信サービスが提供されていることがあります。したがってWi-Fi通信速度はこれを超える通信速度にはなりえません。ちなみに、1 Gbpsの光回線で Wi-Fi 6対応のルーターを使っても、600 Mbps程度の通信速度は得られます。動画視聴でもオンラインゲームでもこのくらいの通信速度があれば快適に利用できますので、無理にそれ以上の速度を追求する必要はないでしょう。

SoftBank光 1Gbps- Buffalo Wi-Fi 6ルーター、MacBook Air M2での通信速度 SoftBank光 (NTTフレッツの 1 Gbps回線)
バッファロー の Wi-Fi 6対応ルーター WSR-3200-AX4Sの組み合わせで測定した通信速度。クライアント機器は、MacBook Air M2 (Wi-Fi 6対応)

③通信の不安定さ

Wi-Fi 7ルーターは登場したばかりで、通信の安定性が改善されるまで、まだしばらく時間がかかるように思います。現に、Wi-Fiルーターを購入した方の書き込みをみると、「つながらない」とか「速度が遅い」というコメントが散見されます。これは必ずしも製品の問題とは限らず、利用者の設定ミスとか、クライアント機種との相性(Wi-Fi 7に対応していない機種との接続性)などが原因である可能性があります。いずれにせよ、Wi-Fi 6のように、だれでも苦労せずに接続できて、高速通信のメリットが得られるようになるには、一般的に利用されるスマホやパソコンのほとんどがWi-Fi 7に対応する必要があります。その状態になるまでにまだ1−2年の時間がかかると思われます。

クライアント機器のWi-Fi 7対応状況(2025年10月時点)

では、実際にWi-Fi 7に対応した機器はどの程度あるのでしょうか。2025年10月時点の、主なクライアント機種の対応状況を見ていきましょう。

iPhoneシリーズ

2025年10月時点で、iPhone 16以降のモデルがWi-Fi 7に対応しています。iPhone 15以前の機種ではWi-Fi 6止まりなので、古いモデルを使っている場合は、Wi-Fi 7ルーターに新調してもメリットはありません。

機種 発売時期 対応規格
iPhone 17 2025年9月 Wi-Fi 7
iPhone 16 2024年9月 Wi-Fi 7
iPhone 15 2023年9月 Wi-Fi 6

Androidスマートフォン(Google Pixel、Galaxy)

Pixelシリーズでは上位モデルを中心にWi-Fi 7が採用され始めています。他のAndroid機種も、2025年に発売された最新機種は、Wi-Fi 7対応になりつつあります。

機種 発売時期 対応規格
Galaxy S25 2025年2月 Wi-Fi 7
Pixel 10 Pro 2025年8月 Wi-Fi 7
Pixel 10 2025年8月 Wi-Fi 6E
Pixel 9a 2025年3月 Wi-Fi 6E
Pixel 9 2024年8月 Wi-Fi 7

ノートパソコン(Mac)

MacBookについては、Wi-Fi 7対応は遅れているようです。つい先日発売されたMacBook Pro M5でもWi-Fi 6E 止まりです。

機種 発売時期 対応規格
MacBook Pro M5 2025年9月 Wi-Fi 6E
MacBook Air M4 2025年3月 Wi-Fi 6E
MacBook Air M3 2024年3月 Wi-Fi 6E
MacBook Air M2 2022年7月 Wi-Fi 6

ノートパソコン(Windows)

Windowsのノートパソコンは、高額機種になるほど通信ボードが高性能になるためWi-Fi 7への対応が進んでいます。10万円以下の低価格機種では、Wi-Fi 6止まりのものも多いため、購入前に確認が必要です。

機種 発売時期 対応規格 参考価格
Dell 15 Ryzen 5 7530U 2025年6月 Wi-Fi 5 71,980円
HP 14-em 2025年5月 Wi-Fi 6 59,800円
LAVIE Direct N15 2025年5月 Wi-Fi 7 114,800円

デスクトップパソコン(Mac)

Windowsのデスクトップパソコンは、通信ボードの入れ替えは自由にできますので、お金次第でWi-Fi 7に対応させることは簡単です。ここでは、Wi-Fi通信機能のカスタマイズができない Mac miniの対応状況について紹介します。

機種 発売時期 対応規格 参考価格
Mac mini M4 2024年10月 Wi-Fi 6E 94,800円〜
Mac mini M2 2023年1月 Wi-Fi 6E

結論:Wi-Fi 7対応ルーターを買うべきか?

家電量販店の店員さんは、お客さんがよくわかってないとみると、とりあえず最新機種をおすすめしてくると思います。しかし、上記で説明したように、スマホやパソコンなどのクライアント機器がWi-Fi 7に対応していないと新しい通信規格のメリットは得られません。逆に、複数の異なるWi-Fi規格の機器が混在することにより、原因不明のWi-Fi通信速度低下が起きたり、機器同士の相性による接続トラブルが起きる可能性もあります。

通信の安定性を重視される方は、あえて型落ちのWi-Fi 6対応のルーター(ただしファームウェアは最新のものにアップデートできる機種)を選ぶというのも1つの選択肢だと思います。

近々、スマホやパソコンをWi-Fi 7対応のものに買い替える予定がある人は、もちろんWi-Fi 7対応のルーターを購入して問題ありません。

おすすめのWi-Fiルーターのメーカー

さて、実際に Wi-Fi 7, 6E, 6とどの通信規格のルーターを購入するか決めたあと、メーカーも考える必要があります。国内の家電量販店で販売されているWi-Fiルーターの主なメーカーは以下の5社です。

バッファロー 愛知県名古屋市に本社を置くパソコン周辺機器メーカー。Wi-FiルーターはAirStationのブランドで提供
NEC 古くから通信機器を扱う総合電機メーカー。Wi-FiルーターはAtermブランドで提供
アイ・オー・データ 石川県金沢市に本社を置く精密機器メーカー
TP-LINK 中華人民共和国深圳に拠点をおく、SOHOおよびSMB向けのネットワーク機器の製造・販売企業。
NETGEAR コンピュータネットワーク機器などのハードウェアを製造販売しているアメリカ合衆国の企業

そのうち、売り場面積を最も多く占めているのが「バッファロー」「NEC Aterm」「TP-LINK」ではないかと思います。

TP-LINKは、中国メーカーということもあってか、他社メーカーに比べてコスパの良い機種を提供しています。ただし、中国メーカーについては、いろいろとリスクがつきまといます。米中貿易戦争の影響で、中国メーカーの部品調達に問題が生じたり、安全保障上、セキュリティリスクの観点で製品の輸入自体が停止されたりする場合です。

「価格だけが大事で、他のリスクは一切気にしない」という人には、TP-LINKはおすすめの機種になりえます。

しかし、この記事では安全性も考慮し、日本で販売の主流になっている「バッファロー」か「NEC」のWi-Fiルーターのいずれかをおすすめします。

バッファローのおすすめ機種(2025年版)

バッファローとNECでは機種構成もわりあい似ていますが、同程度の機能の機種であれば、バッファローのほうが若干価格が安いように思います。私自身も長年利用していて、なじみがあることから、Wi-Fi規格別に、バッファローの具体的な機種例を以下に紹介します。これらはあくまで代表的な例であり、異なる型番の微妙にスペックが異なる機種が何種類かあります。

型番 発売時期 対応規格 価格(目安) コメント
WSR-3600BE4P 2025年6月 Wi-Fi 7 10,980円 手頃な価格でWi-Fi 7を体験できるエントリーモデル
WSR-5400XE6 2023年8月 Wi-Fi 6E 6GHz帯対応で安定通信、Wi-Fi 7非対応でも安心
WSR-5400AX4P 2023年11月 Wi-Fi 6 12,700円 高コスパの定番モデル、家庭用には十分な性能

これから新たに買うなら どのクライアント機種とも通信が安定している Wi-Fi 6対応機種がおすすめです。クライアント機種がWi-Fi 7に対応していて、通信速度がどのくらい変わるのか試してみたい新しもの好きな人は、Wi-Fi 7対応ルーターを購入するのもありでしょう。Wi-Fi 6E規格の製品は、Wi-Fi 6と Wi-Fi 7の間のつなぎの製品なので、Wi-Fi 7が実用化された現時点では、あえて選択するメリットはないように思います。